2024年7月に開催の【レジャー&アミューズメントEXPO(AMLEX)】にて、ハウステンボスの代表取締役 社長 髙村 耕太郎氏によるハウステンボスのこれまでと、これからの戦略についてのカンファレンスがありました。
従業員は約1600人。そのうち社員が1200人程度で、他のテーマパークがアルバイト中心で運営しているのに対して、ハウステンボスは社員率が高い(オープン当初より、地域の雇用確保の側面があるため)。
現在は年間入園者数を公表していないが、コロナ前は170万人であった。
長崎空港から1時間、博多や長崎市からは1.5時間と、非常に不便な場所にある。来園者だけでなく、労働者を集めるのにも苦心する環境。
1992年開園。
もともと長崎県が工業団地として造成したものの、1件も工場誘致ができなかった土地。大村湾の対岸にあったオランダ村に打診したところ、当時パークは好調だったものの近隣道路の渋滞を引き起こすなどの問題を抱えていたオランダ村が、この土地への進出を決め、ハウステンボスが生み出された。
総投資額2,200億円。この時代では相当に高額な投資額。
エコロジーとエコノミーの調和をもとに、最先端なインフラ技術、コンクリートを一切使わない水路の護岸、オランダ製のレンガを2000万個輸入、40万本の植樹などを実施。その結果、一度は開発で失われた生態系も回復させることができている。
パークのテーマはオランダの街だが、その内部には江戸の作法が融合されている。例えばホテルヨーロッパでのクルーザーチェックインは、江戸の船宿をイメージした。
分譲住宅地やマンションなどもあり実験都市としての意味合いが強い。実はテーマパークはおまけで、テーマパーク部分での収益性については二の次だった。
(その結果、2回の経営破綻にも繋がってしまった)
現在は、テーマパークとしての基礎体力の強化を重視。
ミッフィーの活用。
もともとオープン当時から、パークキャラクターとしてミッフィーが存在していた(原作者のディック・ブルーナ氏に、オリジナルのミッフィーデザインを依頼した)があまり活用できていなかった。
そこで、ここ数年で一気にミッフィーをパークの各所に登場するようにした。
新アトラクションの導入。
これまで、ハウステンボスのイメージが「散策」であり、パークをイメージするようなわかりやすいアトラクションに乏しかった。
来年以降も毎年アトラクションを連続投入する。
これらにより、ややシニアによりがちなゲスト構成を、若者もターゲットにしたものへ。
4年後には年間入園者300万人を目指している。
また、これまでの運営でどんどん付け足された手作り系の看板、ポスター類を順次撤去。統一性のある新しいデザインで作り直しを進めている。
【レジャー行動のタイムパフォーマンス】
映画:体験2時間、商圏は30分程度
テーマパーク:体験8時間、商圏は2時間以内と推定
福岡市、長崎市がギリギリ2時間以内。
→ハウステンボスの滞在時間だけでは、他の大都市圏から4〜5時間かけてまで来る価値を提供することが難しく成長に限度がある。
そこで、大村湾全体や伊万里や有田など滋賀県も含む広範囲なテーマリゾートとして捉え、範囲内の観光資源と協力して、商圏4〜5時間に対応できるだけの体験時間を提供する。ハウステンボスがその中心で駆動部となることを目指す。
例えば昨今、観光地のタクシー運転手不足などの対策としてのエリア内の交通機関の提供なども検討。
2年前に投資ファンドに株式が譲渡され、新たな動きを見せ始めたハウステンボス。今回の高村社長の講演では、これからも新アトラクション導入や、1つのテーマパーク内にとどまらない大きな展開への意気込みを聞くことができました。
これからどのように発展していくのがとても興味深い内容でした。