· 

無くなるけれど、失くならない。西武園ゆうえんちと、としまえん

 2020年、西武鉄道関連の遊園地である西武園ゆうえんちが大規模リニューアルを、としまえんが閉園の後、一部を別運営のテーマパークにするという、大きな変革を発表した。これまで様々な遊園地、テーマパークを楽しんでいる私ですが、この二つの遊園地については他の遊園地と少々異なる思い入れがあります。

 

 幼稚園〜小学生時代は西武園まで電車で2駅の西所沢駅付近、中学生〜大学生時代はとしまえんまで徒歩範囲の練馬区春日町(現在の練馬春日町駅付近)に住んでいたからです。自然と行く回数は増え、遊園地は特別な場所というより、ちょっとだけ足を伸ばせばすぐ楽しめる場所になっていました。来園した回数は数えきれません。

 

 そんな子供時代の私に大きな影響を与えた二つのパークなだけに、今回の発表でかなりのショックを受けた…と思われるかもしれませんが、実は案外ドライに受け止めています。

 というのも、例えば西武園(およびその周辺)の変化は今回に限ったことではなく、子供の頃に楽しんだ記憶のあるアトラクションで、現在も残っているのは「オクトパス」(ただしこれも一度移設リニューアルされている)ぐらいです。ジェットコースターも、数年前の事故のまま廃止となった「ループ・スクリューコースター」(1985年開業)ではなく、それより前にあったものの方が記憶に残っています。さらには西武園と西武山口線(おとぎ列車、SL弁慶号)で結ばれていたユネスコ村にいたっては、パークコンセプトが「世界の建物」から「大恐竜館」に変わり、現在はパークそのものが無くなり、ゆり園に。

 としまえんも「サイクロン」や「フライングパイレーツ」「お化け屋敷」などの主要アトラクションこそ現存していますが、「シャトルループ」や「トップスピン」「アフリカ館」など、好きだったトラクションはもう既に無くなっています。

 そんな状況なので、子どもの頃から「遊園地というものは、時代の流れで刻一刻と変わっていくものだ」という考え方が身に沁みついているようです。

 後に大人になってからも、横浜ドリームランド、向ケ丘遊園地、ワンダーエッグ(これは元々期間限定ですが)、新宿や横浜のジョイポリス、多摩テックなどの閉園を見ていますし、ナンジャタウンが縮小リニューアルしたりするのも経験しました。

 

 それを考えれば、西武園ゆうえんちは、コンセプトを入れ替えてのリニューアルですし、としまえんは「としまえん」という名前の遊園地が無くなるものの、縮小した上で、その場所には別のパークができるということで、「完全になくなるわけではない」というイメージです。

 今回の件で、もう二度と利用できなくなるアトラクションがあることは確かに少し悲しいですが、しかしそれを利用したり、パークの雰囲気を楽しんだ思い出は失われません。それよりも新たなアトラクションを利用できるようになるという期待感の方が大きいです。

 

(ただし、としまえんの「エルドラド」は産業遺産・美術品として別格なので、例外として何らかの形では残してほしいと思います。新しいパークが英国風だとしてもエルドラドはそのまま存在しても違和感なさそうですし)

 遊園地やテーマパークはどんなに想い入れがあっても、そこで立ち止まってしまったら老朽化するばかりで衰退するだけです。ウォルト・ディズニーがディズニーランドについて「永遠に完成しない、世界に想像力がある限り、成長し続けるだろう」と述べた有名なセリフがある通り、どんどん変化をしていかなければならないと思います。今回は専ら経営的な事情があるにせよ、これをきっかけとして、「西武園ゆうえんち」も「としまえん」も新しい進化を遂げてほしいと願っています。

【余談】

ユネスコ村・西武園の貴重な映像がありました。

こういった懐かしい映像が残っているのは嬉しいですね。

【余談2】

 としまえん最大のミステリー。この謎が解明されないまま、終わってしまうのか・・・?