以下に転載するものは、2000年に(株)コンピュータ・ニュース社発行の「INDICATOR2月号」誌面にて私が執筆、掲載した原稿よりゲーム関連のみ抽出・加筆したものです。
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INDICATOR掲載「ゲーム専用機の積極的なネットワーク対応が驚異に」(2000年2月)

ゲーム専用機の積極的なネットワーク対応が驚異に

現在は「携帯型電話」と「携帯情報端末」が、PC以外のネットワーク端末として主力となっているが、2000年以降は「ゲーム専用機」のネットワーク端 末化の動きが活性化しそうな気配がある。その発端となったのは98年11月発売のセガ・エンタープライゼス「Dreamcast」である。 「Dreamcast」は標準で33.6Kbpsモデムを搭載、セガ自身がインターネットプロバイダを運営していることで「買って電話線をつなぐだけ」で インターネットの利用が可能となった。簡易的な表示レベルとはいえインターネットメールやホームページ閲覧が可能な機器としては破格の1万9,900円 (1999年6月に改定)という価格設定によって、1月現在のネットワークサービス利用者は50万人を突破するほどまでの規模となった。99年11月には 任天堂とリクルートが「Nintendo64」で、ネットワークゲームやインターネットを低料金で(ハード込み月額固定3,300円)利用するための会員 サービスを運営する新会社「ランドネットDD」を設立、12月からサービスを開始している。

 また、2000年春には、バンダイが「ワンダースワン」用の携帯電話・PHS接続キット「ワンダーゲート」を、8月には任天堂がオプションで通信 機能を搭載できる次世代ゲームボーイ「ゲームボーイアドバンス」を発売予定としているなど、携帯型ゲーム機を情報端末として活かそうという動きがみられ る。

 

「携帯ゲーム機のネット対応に興味があるか」との質問では、「非常に興味がある」が6.9%、「興味がある」は24.4%であった。まだ実際に製品が 発売されていないにもかかわらず、回答者全体の約3割が興味を持っている結果であり、実際に商品が発売されれば、より興味を持つユーザーが増加すると考え られる(グラフ)

 そして、3月にはソニー・コンピュータ・エンタテイメント(SCEI)が「PlayStation2」を3万9,800円で発売する。 「PlayStation2」はゲーム専用機であることをメインに掲げてはいるが、DVD搭載によるAV機器化の他、USBポートやIEEE1394の ポートを標準装備、ゲーム機・AV機器・PC機器の機能を統合したホームサーバの地位を狙っているようだ。

 「PlayStation2に期待する機能」では、「DVD再生機能」(38.4%)が「ゲーム機能」(29.7%)を上回っており、 ユーザーも「PlayStation2」については従来のゲーム機と性質が異なるものであると認識していることがわかる。「ネットワーク機能」については 9.6%にとどまる。 SCEIは「PlayStation2」がどのような方法でネットワークに対応するかを明確には発表していないため、現状ではより機能面における情報が浸 透している「DVD再生機能」のほうがユーザーの期待度が大きい。ただし、ネットワーク機能については、CATVの高帯域ネットワークを利用した、ビット 配信ビジネスを行う関連子会社「プレイステーション・ドットコム・ジャパン株式会社」を設立したことからもソニーグループが勢力をあげてネットワーク機能 へ注力していくことは確実で、「PlayStation2」の普及後に本格的なネットワーク対応が行われることは間違いない。

 これら、ネットワーク端末の新興勢力に共通することは、いずれもネットワーク接続の簡易性と価格の安さをセールスポイントとしている点 だ。PCの価格は、大幅に低下しつつあるとはいえ、最低でも初期費用で10万円前後はかかってしまう。これに比べて、例えば「Dreamcast」では約 2万円、iモードでは1万円前後でインターネット接続環境が揃うことになる。ユーザーからも「初期設定がほとんど不要で、本体価格も安く、電源を入れてす ぐにメールが読める使い勝手の良さはPCと比較にならない」などの声があがっている。「今後、PC以外の端末でのネットワーク接続が増えるか」との質問で は、過半数が「PCほどではないが増加」と回答、さらに「PCと同じくらいになる」が12.1%、「PCより増加する」という回答も10.1%と1割を超 えている。純粋なネットワーク端末としてのPCの役割は減少していくことが読みとれる。

メールやホームページ閲覧などの簡易的なインターネット利用においては、主力がパソコンから、インターネット対応携帯型電話やゲーム専用機に主力が急速に移っていくことは間違いない。