ロケテストについて(1998年3月29日記載)

最新のゲームマシンを発売する前に、一般のユーザーにプレイさせて、ゲームバランスや、ユーザーの感想を取り入れるのが「ロケテスト」と呼ばれるものだ。大抵の場合、そのゲームメーカーの直営アミューズメントセンターで実施される。
 「ロケテスト」は、製作者の思い入れが強いほど起こり安い「自己満足」を回避する有効な手段だ。そのため、ロケテストは全てのゲームにおいて必要であると考える。
 しかし、このロケテストもやり方を間違えると、「自己満足」をより助長してしまう危険性をはらんでいる。現在、一部のマニアのためだけの「ゲー ム」から、老若男女誰でも楽しめる「アミューズメント」にゲームマシンが変貌しつつある。にもかかわらず、ロケテストの方法が変わっていない。  ゲームマニアは、最新のゲームをいち早く体験し、誰よりも早くクリアしようと考えている。とうぜんながら、一般人とはゲームに対する適応力が異なる。ロ ケテスト時にゲームマニアが殺到してしまうと、ゲーム設定がマニア向けになり、一般人が楽しめないものとなってしまう。
 本来ならば、ゲームマニアも一般人も、ロケテスト出はない通常の営業と同じ比率でロケテストをしなければならない。このためには、ロケテストは 「レベルが完全に中立なロケーション」であることが必要だ。しかし、大抵の場合ロケテストを行う場所は、繁華街の直営アミューズメントセンターである。マ ニアの情報網、行動力、情熱ではロケテストの場所の情報がすぐに流出する。結果、そのセンターに殺到、一般人を締め出してしまいかねない。これでは全くロ ケテストの意味をなさないのではないか。
 「マニアのレベルを測ることができる」と反論する方もいるかもしれない。だが、それならばもっとスマートな方法があるのではないか。
 その一つは、ロケテストを「一般向け」と「マニア向け」に明確に分けることである。「一般向け」のロケテストでは、事前には日時や場所を明かさ ず、しかも新宿や池袋などの繁華街を避け、マニアの比率の少ない場所(例えばデパートの屋上とか)で実施する。場所がマニアにばれると殺到してしまうの で、1~2日で別の場所に移動する。これならば、一般人のレベルを明確に測定できるのではないか。一般人がなかなかプレイしてくれないというのであれば、 イベントや無料体験会などの形式にするのも良いだろう。ここでは、希望者にアンケートをとり、筐体のデザイン、音楽、キャラクターなど、ゲームマニア以外 の客層をつかむにはどこを直すべきかというデータをメインに集める。
 逆にマニア向けのロケテストの場合は、インターネットや広報雑誌などで事前に告知し、マニアを掻き集める。殺到するマニアに対応できるように (可能ならば)ロケテストマシンを大量に設置する。台数を沢山設置できないのであれば、モニター募集という形で何人かを事前に抽選で選ぶのも良いだろう。 ここでは場合はアンケートやモニターレポートの提出をプレイヤーに義務付け、ゲーム内容や難易度など、より細かい感想を集めるべきだ。
 誰でも遊んでみたいと思い、はじめるとのめり込み、慣れてくるとさらに上を目指すことができるようなゲームバランスの取れたゲームが出来れば、 長期に渡ってインカムを稼ぐベストセラーにもなり得ると思うのだが・・・。ゲーム内容で実践できるのがベストだが、さすがにそれは難しい。せめてゲームバ ランスで、これを実践できないものだろうか。