NEOGEOワールド東京ベイサイド(1999年3月)

[第一印象]

第一印象は「すかすかしている」。初めての来園は99年3月19日、すなわちオープン日初日である。ただし、時間は午後11時過ぎ。事前の調査でオープ ン直後の週末は早朝6時までの特別営業であるとの情報を入手、空いているこの時間を狙って入園したのだからある程度空いているのは当然だ。だが、その時は 我々の予想を上回るほど閑散としていた。どうやら、深夜営業についての事前の告知がほとんど行われて居なかったのが要因らしい。かくいう私も、深夜営業に ついては知り合いのスタッフから聞いただけで、雑誌やその他の宣伝媒体では一切そのことを見ていない(本当に深夜営業するのか心配で、インフォメーション に電話して確認したほどだ)。告知しなければ例えその日がオープン日という特別な日であっても深夜にまでは客が来ないという事実を証明してしまった。
 それほどまでに空いていたという事実(少なくとも、その日は客よりもスタッフの方が多かった気がする)を差し引いても、やはり「すかすかしてい る」感は拭えない。「開放感」や「広々している」というレベルをはるかに通り越している。どうやら、これはパーク内の設置施設や造形物が少ないことが要因 のようだ。特に中央広場部分は天井が高いため余計にそれを感じる。
 オープン時のアトラクションは10施設。それが2フロア構成で建築面積7,659平方メートルのエリアに存在している。近接するセガの東京ジョ イポリスでは、3フロア構成で延床面積9,600平方メートルに17施設だ。公表値の基準が異なるため一概には比較できないが、広さの割にアトラクション が少いことは解るだろう。さらに、そのアトラクションのうち、4つはパークの最奥に集中して設置している。これが余計に余剰空間を感じさせる要因となって いる。これについては、当初14アトラクションの設置を予定していたが、最初に全てのアトラクションを設置するのではなく、機会を見計らって随時追加しリ ピーターを獲得することを重視したため、あえて最初は少なくしたとのことだ。また、同一ビル内にトヨタのテーマパーク「MegaWeb」や、大観覧車、 ボーリング場などがあるため、ネオジオワールドのパーク部単独ではそれほどの滞在時間を求めていないこともアトラクションの少なさに影響している。

 

[パーク全体構成]

パーク全体の構成は、テーマ性が薄いと言わざるを得ない。テーマパークではなく、大規模なアミューズメントパークと言った方が良い。ゲートを抜け、その まま直進してしまうといきなりゲームコーナーに入ってしまう(パークの中心部はインフォメーション前を左折しなければならない。また、多数の来園者が予想 できる割にはトイレやコインロッカーなどの設備が少ない。トイレは4箇所あるが、そのうち2箇所はかなり狭く不便だ。特にコインロッカーについては、アト ラクションのチェックポイントとして存在しているダミーのコインロッカーが1箇所あり、来園者の誤解を招かないか心配だ。
 アトラクションについては、10施設中9施設がオリジナルのものとなっている。ただし、そのほとんどは企画のみをSNKが担当、システム開発の 一部についてはナムコやウシオユーテック、日立など、他のメーカーのOEMとなっている。SNK自身、ゲームメーカー系のテーマパークで先行するナムコや セガと比較すると会社規模が少ないため、ばく大なコストがかかる施設のシステム開発は外部に依託するのが効率的であるとの判断だろう。

 

[各アトラクションについて]

●ピープジェム
 3D眼鏡による立体映像に加えて、シアター内に仕掛けられた体感装置でより一層の臨場感のある映像が体験できる。ソフトはオリジナルで、パーク 地下にて開発中の新アトラクションを見学中、突如暴走を始めるというもの。TDLの「ミクロアドベンチャー」を参考にしたような感があるが、ストーリーの テンポや分かり易さについて若干の難がある。


●アイマックスライドフィルム
 モーションライドによる体感シアター。ハード、ソフトともに他パークにも既にあるもの。


●マインドプラネット
 カクテルバーをモチーフにした占いアトラクション。診断結果の印刷された用紙にかかれているカクテルをパーク外4階の実際のバーで半額の割引で飲むことが出来る。ただし、パーク内にもカクテルを出す店があり、ここと誤解する可能性がある。


●ニューヨークゲッタウェイ
 ニューヨークの夜景の中を走るミニコースター。搭乗者は何故か突然指名手配犯にされ、警察から逃げ回るという設定。プレショールームで参加者の 写真が指名手配犯としてモニターに映し出される演出がある。ここまでやるのであれば走行中にも撮影して、2枚の写真を組み合わせた「手配書」のようなもの を出口で販売するともっと受けるのでは無いかと思う。また、コース下が倉庫になっており、ときどきその倉庫で作業中のスタッフが見えてしまうのはイメージ を損なう。


●エージェントメタル
 マシンガン搭載のライドに乗り込みね金属生命体に乗っ取られた研究所から脱出する。プレイ中はヘッドフォンを装着するが、これは臨場感を高める効果の他、施設の構成上上部フロアのニューヨークゲッタウェイから漏れるBGMをプレイヤーに聞かせない役割を果たしている。


●ルーインズ
 魔法石「キーストーン」を持ち、遺跡の中に仕掛けられた罠をクリアしていく。最終地点ではここまでの罠のクリア数に応じて、景品獲得のチャンス が変化する。それぞれの罠の解除方法の説明が若干わかりにくいのと、1度パターンを読んでしまうと次回以降は簡単に罠を解除できてしまうのが難点。


●イッツ・ア・クール・ジョッキー?
 馬型ライドによる周回レース。馬のバランスによって進行方向が決まり、馬の尻をハリセンで叩くことで加速する。バランスの取り方が非常に難し く、初めてプレイする客は前に進むことすらままならない。コース壁面に激突したカートの修正はスタッフが人力で行うが、その作業が危険を伴う。スタッフが 怪我をしないか、見ている側が恐い。


●テラリウム

 特殊生物「モルド」の公開中、システムにトラブル、モルドが逃げ出しパニックになるという設定のシアター型アトラクション。演出が多彩で、モルドの動きもリアルだ。最後に登場する女王モルドの迫力は満点。


●バクテン
 ミニフリーフォール系アトラクション。上下にバウンドする感じで動作するライドとタイミングを合わせてボタンを押すことでライドが最上部で1回 転する。押すタイミングによりスコアが加算され、最終的にスコアの最も高かったライドは、ゲーム終了後にサービス回転する。ただし、最高でも5回転しか出 来ないため、絶叫マシンが好きな人には物足りない。


●ノーフェイト
 パーク内を現金トランク型のデータキャリアを持って回遊するアトラクション。参加者は身代金受け渡し役となり、犯人の指示に従って(あるいは無 視して)行動する。行動の状況により、エンディングは4パターンに分かれる。ストーリーはフジテレビの「目覚ましテレビ」とタイアップ制作。被害者役はフ ジテレビの木佐アナ、オープニングやエンディング、途中の指示には「目覚ましテレビ」の出演者が総出演している。